Yume

意味

オタク文脈における「夢」とは、アニメや漫画・ゲームのキャラクターと、読者自身あるいは読者が思い描く人物との関係を描く創作ジャンルの総称。小説なら夢小説、イラストなら夢絵、漫画なら夢漫画と呼び、これらをまとめて夢向けという。

作品の主人公にあたるオリジナルキャラクターを夢主(ゆめぬし/ゆめしゅ)と呼ぶ。書き手や読み手が自分自身を重ねる自己投影型もあれば、作者から切り離された第三者として造形される型もあり、外見や性格に決まった形はない。

狭義には、主人公の名前を読者が自由に置き換えられる小説を指す。この名前変換の仕組みが夢というジャンルの出発点で、現在も多くの投稿サイトが対応している。

夢を好む人は夢女子、男性であれば夢男子と呼ばれる。ほかに夢女、ドリーマーといった言い方もある。

英語圏での「yume」

英語圏で近い概念は self-insert や reader-insert。読者の名前が入る箇所に Y/N(Your Name)と記す表記も広く使われている。近年はここに yume、yumeship という日本語由来の語が加わり、キャラクターと自分との関係を指す言葉として通じるようになってきた。

語源

語源は日本語の「夢を見る」。現実には起こり得ないことを心に思い描くという言い回しが、キャラクターとの関係を想像して楽しむジャンルの名になった。当初はドリーム小説と呼ばれ、その省略形として夢小説が広まっていく。

個人サイトと名前変換

名前変換つきの小説が確認できるのは1990年代後半。1997年に漫画『ハーレムビート』のファンサイトに掲載されたものが、早い例として知られている。

名前はJavaScriptやcookieで書き換える仕組み。DreamMakerのような変換ツールが配布されたことをきっかけに、この形式が個人サイトを中心に一気に広がった。

投稿サイトへの移行

2000年代以降は、携帯電話とパソコンの両方から読める投稿サイトへと場が移った。占いツクールハーメルンなど、名前変換に対応したサービスが夢作品の主な発表先となった。

pixivでは長らく、ブックマークレットを使うか固定の名前で投稿するしかなかった。2020年4月16日にシリーズ設定の単語変換機能が正式に実装され、大手の投稿サイトでも名前変換が扱えるようになっている。

用例

  • 1 「今度の本、夢だから苦手な人は気をつけてね」「大丈夫、むしろ夢のほうが好き」
  • 2 「その子、夢主?」「うん。名前を変えて読めるようにしてある」
  • 3 A「この作品、二次創作は何を読んでるの」B「カプより夢かな。自分の名前を入れて読むのが好きで」
  • 4 「昔は個人サイトで名前を入力してから読んでたよね」「あの名前変換の画面、懐かしい」

補足

夢のいろいろな型

夢主の性別によって女主・男主・性別不明と分かれるほか、恋愛を描かない友情夢、夢主が物語を見守る立場に徹する傍観夢といった型もある。原作世界へ迷い込むトリップ、生まれ変わって登場する転生、既存の人物の立場に入れ替わる成り代わりなど、設定ごとの呼び分けも細かい。BL夢(BLD)、GL夢(GLD)のように、関係性の指向で分ける言い方も使われている。

腐女子・リアコとの違い

夢女子腐女子はしばしば並べて語られるものの、対立する概念ではない。キャラクター同士の関係を読むのが腐女子、キャラクターと夢主の関係を読むのが夢女子であり、どちらも楽しむ雑食の層も多い。

一方、リアコガチ恋は相手に対する感情を指す。夢はあくまで創作の枠組みであり、この線引きは界隈でかなり意識されている。

棲み分けと検索避け

夢は好みが強く分かれるため、タグやキャプションで前もって示す棲み分けが、ジャンル全体のマナーとして広く共有されている。夢が苦手な人が検索から外しやすいよう、作品側が夢のタグを明示するという考え方が土台にある。

作品をどの分類に置くかは、投稿した本人の意思が優先される。この前提も同じように共有されている。好みに合わないからといって作品や作者を責める振る舞いは、界隈で強く嫌われる。

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最終更新日

Japanese

Hiragana

ゆめ

Table of Contents

関連用語

関連する日本文化の用語をご覧ください。

腐女子

Fujoshi(ふじょし)

男性同士の恋愛を扱ったフィクション(BL/やおい)を好むオタク女性を指すネットスラング。対象はアニメ・漫画・ゲームなどのフィクション上のキャラクターであることがほとんどで、現実の同性愛とは区別される。 伏せ字やカップリング表記(攻め×受け)など独自の表現文化が発達しており、界隈特有の暗黙の了解も数多く存在する。近年はネガティブな印象が薄れ、SNSやメディアで公言するファンも増えている。

カップリング

Coupling(かっぷりんぐ)

カップリングとは、同人やファンの文化でキャラクター同士の恋愛関係の組み合わせを指す語。海外における「Shipping」の意味とほぼ同じである。 男性同士の恋愛を描くBLにも、女性同士の恋愛を描く百合にも使う。男女の組み合わせも同様。略すときはカプ、または CP と書く。CP のほうは、中国語圏をはじめ東アジアのファンの間でも共通して使われている。 推しカプは、自分が好きで応援しているカップリングのこと。SNSでは「〇〇と〇〇が推しカプです」のように使う。 原作で恋仲として描かれる組み合わせは、公式カップリングと呼ぶ。カップリングという語そのものは、非公式の解釈だけを指すわけではない。ただしファン活動の中心にあるのは、原作にない組み合わせを想像したり解釈したりする楽しみ方。 派生の呼び方もある。同じキャラクター同士を掛け合わせた組み合わせは二乗と呼ぶ。恋愛ではない友情や相棒の関係はコンビと呼び、恋愛の A×B と区別して A+B や A&B と書く。

リアコ

Riako(りあこ)

リアコとは、「リアルに恋してる」の略。アイドルや俳優、声優、アニメキャラクターなど、ファンとしての関係しか通常は持てない相手に対して、本気の恋愛感情を抱いている状態やその人自身を指す。 「推し」への応援とは異なり、交際や結婚を望むほどの恋心を伴うのが特徴。自分の気持ちを自覚した上で「リアコです」と自称するケースも多い。 ガチ恋との関係 類義語に「ガチ恋」がある。リアコは女性ファンの間で定着した表現で、ガチ恋は男性ファン寄りとされることもあるが、現在はどちらも性別を問わず使われている。 意味の違いはほぼなく、個人の好みやコミュニティによって使い分けられる程度。

ガチ恋

Gachikoi(がちこい)

ガチ恋とは、アイドル・タレント・VTuber・ライブ配信者などに本気で恋愛感情を抱くこと。またはそうした感情を持つファンを指す言葉である。推しを応援する気持ちが高じて、画面やステージの向こうにいる相手と付き合いたいと思うところまで至った状態を指す。ガチは「本気で」の意で、文字どおり本気の恋を意味する。 同じファン活動でも、推し活とガチ恋では感情の向きが違う。推す行為は応援や布教が中心で、良さを他のファンと分かち合えるのが前提になっている。一方ガチ恋は恋愛感情なので、独占欲や嫉妬を伴いやすい。同じ相手を推す他のファンを受け入れられない同担拒否につながることもある。 SNSやオタク同士の会話では、自嘲や興奮まじりに「完全にガチ恋」と状態を語る形で使われることが多い。行き過ぎると過剰な課金に向かうこともあり、ファン本人が半ば自覚しながら使う言葉でもある。

同人

Doujin(どうじん)

同人とは、同じ趣味や志を持つ仲間、またその集まりを指す言葉。オタク文化では、営利を目的とせず、個人や仲間うちで作品を作って発表する活動全般を指すことが多い。 代表格は同人誌だが、同人ゲームや同人音楽など形態は幅広い。出版社やメーカーといった企業を介さず、作り手が自分の裁量で作って世に出す。この自主制作という性格がすべてに共通している。 商業作品との違いは動機の順番にある。利益や流行のためではなく、作りたいから作る。ニッチな題材や実験的な表現が同人から生まれやすいのは、売れ行きに縛られないこの自由さによる。 「同人」が付く言葉 同人誌は同人が作る本、同人サークルは活動をともにする集まり、同人作家は同人活動をする作り手を指す。コミックマーケットに代表される同人誌即売会は、作り手が読者に直接作品を手渡す場として発展してきた。 対象はオリジナル作品を生む一次創作と、既存作品を土台にする二次創作の両方に及ぶ。二次創作のイメージで語られやすい言葉だが、それだけを指すわけではない。

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