Doujin
意味
同人とは、同じ趣味や志を持つ仲間、またその集まりを指す言葉。オタク文化では、営利を目的とせず、個人や仲間うちで作品を作って発表する活動全般を指すことが多い。
代表格は同人誌だが、同人ゲームや同人音楽など形態は幅広い。出版社やメーカーといった企業を介さず、作り手が自分の裁量で作って世に出す。この自主制作という性格がすべてに共通している。
商業作品との違いは動機の順番にある。利益や流行のためではなく、作りたいから作る。ニッチな題材や実験的な表現が同人から生まれやすいのは、売れ行きに縛られないこの自由さによる。
「同人」が付く言葉
同人誌は同人が作る本、同人サークルは活動をともにする集まり、同人作家は同人活動をする作り手を指す。コミックマーケットに代表される同人誌即売会は、作り手が読者に直接作品を手渡す場として発展してきた。
対象はオリジナル作品を生む一次創作と、既存作品を土台にする二次創作の両方に及ぶ。二次創作のイメージで語られやすい言葉だが、それだけを指すわけではない。
語源
同人という言葉は、古代中国の占いの書である易経にさかのぼる。六十四卦のひとつ天火同人は、志を同じくする者が集まり、力を合わせて事を成す形を表す。ここから、同人は志を同じくする人々を意味する言葉として長く使われてきた。
明治の文学青年と同人誌
同人が創作活動と結びついたのは明治時代。1885年、東京大学予備門の学生だった尾崎紅葉らが文学結社の硯友社を結成し、機関誌として我楽多文庫を創刊した。仲間うちで回し読みする手書きの雑誌で、小説の同人誌としては日本初とされる。
同人誌はやがて、若い書き手が世に出るための登竜門になっていく。武者小路実篤や志賀直哉が創刊した白樺など、文学史に残る同人誌も数多い。
コミックマーケットの誕生
1975年12月21日、東京の虎ノ門にある会議室で第1回コミックマーケットが開かれた。漫画批評集団の迷宮'75が主催し、参加は32サークル、来場者は約700人。これを境に、漫画やアニメを軸にした同人文化が急速に育っていく。
コミックマーケットはその後、世界最大級の同人誌即売会へ成長する。50周年を迎えた2025年12月の第107回には2日間でのべ30万人が来場し、出展は約23,700スペースにのぼった。
用例
- 1 「週末はいつも何してるの?」「同人活動だね。半年に1回、即売会で新刊を出してる」「え、プロの人だったの?」「いやいや、完全に趣味。刷った分がはけたら万々歳の世界だよ」
- 2 「この漫画家、デビュー前は同人で有名だったんだって」「同人からプロになる人、ほんとに多いよね」
- 3 A「初めて同人誌を買ってみたけど、原作への愛が濃くて圧倒された」B「わかる。ファンだからこそ描けるものがあるんだよね」
- 4 「同人って二次創作のことでしょ?」「それだけじゃないよ。オリジナルの漫画や小説を出してる人も多いし、ゲームや音楽を作ってる人もいる」
補足
一次創作と二次創作
同人活動は大きく二つに分かれる。オリジナルの世界を生み出す一次創作と、既存作品のキャラクターや設定を借りる二次創作だ。コミックマーケットでは二次創作の存在感が大きい一方、コミティアのようにオリジナル限定の即売会も長く続いている。どちらが本流ということはなく、同人文化の中で並び立っている。
二次創作と著作権
二次創作の同人誌は、著作権の面ではグレーな領域にある。権利者に無断でキャラクターを使う以上、法的には著作権侵害にあたりうる。それでも権利者が黙認する形で、ファン活動として長年発展してきた。
近年は、二次創作の条件を明文化したガイドラインを公表する企業が増え、ファンが安心して活動できる範囲がはっきりしてきた。一方で、営利と見なされる規模の活動や公式商品と競合する形態は、権利者とのトラブルに発展しやすい。
同人と商業
同人は商業デビューの入り口としても機能してきた。同人ゲームとして生まれた東方Projectのように、同人のまま巨大なファン文化を築いた作品もある。ひぐらしのなく頃にのように、同人発の作品がアニメ化を経て商業展開へ広がった例もある。
海外から見た doujin
doujin は英語圏でもそのまま通じる言葉になっているが、意味は狭く伝わりがち。二次創作のファン作品、とくに成人向けの同人誌を連想させる言葉として広まった面がある。実際の同人文化は、オリジナルも全年齢向け作品も含む、ずっと幅広い活動を指す。
最終更新日
Japanese
同人
Hiragana
どうじん
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