金沢城公園は、加賀百万石で知られた前田家の居城の跡地です。加賀藩は江戸時代に前田家が治めた領地で、米の収穫量で表す石高が百万石あったことからそう呼ばれました。天守は失われたままですが、石垣と復元された建物が広い園内に並びます。園内を歩くだけなら料金はかかりません。
入館料が要る区域は、復元された菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓・橋爪門の内部に限られます。櫓は城の見張り台を兼ねた建物のこと。料金は大人320円、6歳以上18歳未満は100円です(2026年9月時点)。同じく復元された河北門と鼠多門は、どちらも無料で入れます。
金沢駅からは城下まち金沢周遊バスの右回りルートで、兼六園下・金沢城のバス停まで約18分。降りてすぐの石川門から園内に入れます。東側は石川橋で、隣り合う庭園の兼六園とつながっています。橋を渡った先が兼六園の桂坂口です。
白い壁と鉛の瓦
白い壁の建物が、石垣の上を横一文字に伸びています。菱櫓から五十間長屋を通り、橋爪門続櫓へとつながる一続きの建物です。屋根には鉛でつくった瓦を葺きます。金沢城の建物に共通する特徴です。
壁の下側は海鼠壁という仕上げです。四角い平瓦を並べ、継ぎ目を白い漆喰で太く盛り上げてあります。石川門や鶴の丸のあたりでは、この海鼠壁の裏に鉄砲狭間が隠されています。狭間は矢や鉄砲を撃つための小さな窓で、外から見てもどこにあるか分かりません。有事には瓦を打ち破って撃つ仕掛けでした。
例外は西側に立つ鼠多門です。この門だけ、海鼠壁の目地を黒い漆喰で仕上げています。白でそろえたほかの門や櫓と並べると、色の違いがはっきり分かります。
江戸時代から残る三つの建物
園内の建物の多くは近年の復元ですが、江戸時代のまま残る建物も3棟あります。いずれも国の重要文化財です。
兼六園と向かい合う入口に立つ石川門は、1788年に建て直された門です。二つの門の間に四角い空間を挟む枡形という構えで、攻め手の足を止めるためのつくりでした。この枡形の建物群が江戸時代の姿のまま残っているのは、大坂城の大手門とここだけです。1950年には国の重要文化財に指定されています。
三十間長屋は、1858年に建て直された建物です。幅約5.3メートルに対して、長さは約48.2メートル。石垣の縁に沿って、白い壁が細長く伸びます。武器や道具をしまう倉庫と、防壁を兼ねた建物でした。1957年から国の重要文化財です。
鶴丸倉庫は1848年に建てられた土蔵です。土蔵は壁を土と漆喰で厚く塗り固めた倉庫で、城の中に建つものとしては全国でも最大級。延べ床面積は636平方メートルあります。2008年に重要文化財となりました。2024年1月に石川県の能登半島で起きた地震で傷んだ部分は、2025年にかけて修復されています。
復元が続く城
1583年、前田利家が金沢城に入ります。天守は1602年に落雷で焼け、その後は建て直されませんでした。代わりに三階櫓が天守の役目を果たします。1759年には城下の大火で城全体が焼けています。
明治に入ると、城地は軍の管轄に移りました。1871年からのことで、城内には陸軍の兵営が置かれます。1881年には城内から出た火で二ノ丸などが焼けました。
戦後の城内は大学のキャンパスでした。1949年に金沢大学が城内で開学し、1995年に郊外への移転を終えるまで、学生が石垣に囲まれて通っていました。公園としての整備は1996年に始まります。
2001年、菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓が復元され、一般に公開されました。菱櫓は名前のとおり平面が菱形で、角度は80度と100度。柱まで菱形に削り出す手のかかったつくりで、館内では骨組みを間近に見られます。2010年に河北門、2015年に橋爪門と玉泉院丸庭園が完成しています。
2020年には鼠多門と鼠多門橋がよみがえりました。1884年の火事で失われてから、およそ140年ぶりの復元です。橋の長さは32.6メートルで、城内では最大の木の橋。玉泉院丸と、いまは尾山神社の境内になっている金谷出丸を結んでいます。
2024年1月の能登半島地震では、園内の石垣5か所が崩れ、23か所が変形しました。崩れた石材の調査と保管が進み、復旧の方針は専門家の会議で検討が続いています。2025年7月には、いもり堀の園地に見学ルートが整えられました。
見学案内
有料区域の菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓・橋爪門は、9時から16時30分まで入れます。受付は16時で終わります。入館料は大人320円、6歳以上18歳未満は100円。兼六園との共通券は500円です(2026年9月時点)。
河北門と鼠多門は入館無料で、開いている時間は有料区域と同じです。65歳以上は公的な身分証を見せれば、有料区域も無料で入れます。障がい者手帳を持つ人と介護者1名も同じ扱いです。
金沢駅の兼六園口からは城下まち金沢周遊バスが出ています。右回りで兼六園下・金沢城まで約18分、左回りだと約25分かかります。車なら兼六駐車場に普通車480台、本多の森駐車場に403台の枠。
2024年の地震で崩れた石垣の復旧は、まだ途中です。作業の進み具合は石川県の公式サイトに随時掲載されています。
『日本三國』に登場
文明が退化した未来の日本で三つの国が争う『日本三國』は、2026年春にテレビアニメが放送された漫画です。
作中では、三国のうち一つ、聖夷の軍が立てこもる城として描かれます。
石川県観光連盟が2026年5月26日から12月31日まで開く『日本三國』のデジタルスタンプラリーでは、園内の鶴の丸休憩館がチェックポイントの一つです。