Yumejoshi

意味

夢女子(ゆめじょし)は、アニメ・漫画・ゲームのキャラクターを相手に、自分や自分の分身との関係を想像して楽しむ女性のファン。その想像を小説やイラストの形にした創作ジャンルが「夢」で、夢を愛好する人を夢女子と呼ぶ。相手は二次元のキャラクターが中心だが、アイドルや声優など実在の人物に向かうこともある。

恋愛関係だけではなく、友情や家族のような間柄、あるいは直接は関わらず見守るだけの立場まで幅がある。物語への入り込み方もさまざまで、主人公を自分自身と重ねる人もいれば、自分とは別の独立した人物として動かす人もいる。

創作の中心に置かれるのが夢主(ゆめぬし)。読者や書き手の分身として物語に登場する主人公で、名前を持たないオリジナルの人物であることが多い。この夢主を通して、画面の向こうのキャラクターと過ごす時間を疑似体験する。「夢」という言葉には、現実にはありえない関係を思い描くという意味と、物語の世界へ入り込むという意味の両方が重なっている。

SNSの投稿や会話の中では、自分自身を半ば自虐ぎみに夢女(ゆめおんな)と自称することもある。

語源

夢女子文化の源流は、夢小説(ゆめしょうせつ)と呼ばれる創作にある。読者が自分の名前を入力すると、主人公の名前がその名前に置き換わって表示される小説のこと。この名前変換のしくみが最大の特徴で、同じひとつの作品を、読者それぞれが自分を主人公にした形で読める。

こうした小説が個人サイトで広まったのは、1990年代後半から2000年ごろ。当時の同人系の小説サイトで、短い作品に名前変換の機能を付けたものが原型とされる。

専用の変換ツールが出回り、人気作品のファンサイトで使われたことで一気に広がった。ただし、生まれた正確な時期も夢小説という呼び名の由来も、はっきりした記録は残っていない。

「夢女子」という呼び名の広まり

投稿の場は時代とともに移ってきた。個人サイトや携帯電話向けの小説サイトに始まり、やがて占いツクールやハーメルン、pixivといった投稿サービスへ。書き手や読み手が自分を夢女子と名乗り、SNSで作品や好みを分かち合うようになったのは、こうした場が広がった2000年代後半以降のことである。

比較的新しい動きとして、pixivは2020年に、読者が主人公の名前を置き換えて読める機能を加えている。

用例

  • 1 「また推しの夢小説書いてたら朝になってた。我ながら救えない夢女だわ」「夢主が動き出すと止まらないやつだ」
  • 2 「長く夢女子やってる作品で、公式が推しに恋人つくってきて完全に地雷だった……」「それは……お気持ちお察しします」
  • 3 「夢垢のフォロワーさんと好みが合いすぎて毎日たのしい」「同じ夢主観の人、貴重だから大事にしなよ」
  • 4 A「私は自己投影型だから夢主に名前つけないんだよね」B「わかる。私はオリキャラ立てる派だけど、そこで分かれるよね」

補足

腐女子との違い

同じ女性のオタクを指す言葉に腐女子(ふじょし)がある。腐女子は男性キャラクター同士の恋愛、いわゆるBLを好む人で、基本は二人の関係を外から眺める立場をとる。

一方の夢女子は、キャラクターと自分や夢主との関係を中心に置く。

視点の起点が自分の側にあるかどうかが、両者を分ける大きな違いだと言える。とはいえ、どちらも楽しむ人や、作品によって使い分ける人もいて、線引きはそれほどきれいではない。

地雷と棲み分け

夢女子の世界でよく使われるのが地雷(じらい)。踏むと心が乱れるもの、見たくない設定や展開を指す言葉である。推しが自分以外の相手と恋愛する描写が代表例で、ほかのファンの二次創作だけでなく、公式の展開が地雷になることもある。

何が地雷かは人によって違う。だから作品を公開するときは、内容の傾向をタグで示したり、ひとこと注意書きを添えたりする。この棲み分けへの気づかいが、夢女子のコミュニティではとりわけ大切にされている。

夢主、夢男子、そして「女子」の話

夢から枝分かれした言葉は多い。物語に置かれる分身が夢主、キャラクターと夢主を一緒に描いたイラストは夢絵、漫画なら夢漫画と呼ぶ。男性版の夢女子にあたる夢男子(ゆめだんし)という語もあるが、数は多くなく自分から名乗る人は少ない。

なお、名前に「女子」とあるものの、夢を好むことに性別は関係ない。書き手や読み手が男性でも、性別を明かしていなくても、夢を楽しむ仲間であることに変わりはない。

海外の「Reader-Insert」文化

海外のファンにも、よく似た楽しみ方がある。英語圏のReader-Insert(リーダーインサート)と呼ばれる二次創作で、読者である「you」を主人公に据え、原作のキャラクターとの物語を描く。読者の名前は Y/N(Your Name の略)と書いておき、読む人がそれぞれ自分の名前に読み替える。

夢小説の名前変換と、発想がよく似ている。AO3やWattpad、Tumblrといった場では、「キャラ名 x Reader」のタグのもとに膨大な作品が共有されている。作者自身を主人公にする self-insert という形もあり、夢主の立て方とちょうど重なる。

外部リンク

ピクシブ百科事典「夢女子」

当事者コミュニティによる解説。夢の定義の幅広さ、自己投影型と代理型、腐女子との関係、性別を問わない点まで丁寧にまとめている。

ドリーム小説 — Wikipedia

名前変換のしくみ、発生時期をめぐる諸説、逆ハーレムやトリップなどの派生ジャンルを網羅した基礎資料。

ドリーム小説(夢小説) — 同人用語の基礎知識

パソコン通信時代を知る書き手による解説。「夢小説」という呼び名が広まった経緯のあいまいさにも触れている。

Reader-Insert — Fanlore(英語)

英語圏の二次創作における reader-insert と Y/N の解説。日本の夢小説に対応する海外の概念を知る手がかり。

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最終更新日

Japanese

夢女子

Hiragana

ゆめじょし

Table of Contents

関連用語

関連する日本文化の用語をご覧ください。

腐女子

Fujoshi(ふじょし)

男性同士の恋愛を扱ったフィクション(BL/やおい)を好むオタク女性を指すネットスラング。対象はアニメ・漫画・ゲームなどのフィクション上のキャラクターであることがほとんどで、現実の同性愛とは区別される。 伏せ字やカップリング表記(攻め×受け)など独自の表現文化が発達しており、界隈特有の暗黙の了解も数多く存在する。近年はネガティブな印象が薄れ、SNSやメディアで公言するファンも増えている。

オタク

Otaku(おたく)

オタク(Otaku)は、アニメや漫画など日本のポップカルチャーに強い情熱を持つファンを指す言葉。英語圏ではこの意味で定着しており、好きなジャンルに深い知識を持つ人をポジティブに表す呼び方として広く使われている。 英語の「geek」や「nerd」に近い文脈で使われることもあるが、otakuには日本のアニメ・漫画文化と結びついた独自のニュアンスがある。海外のファンコミュニティでは、誇りを込めて自称する人も少なくない。 日本国内での意味 日本語の「オタク」は、特定の分野に深い愛着と知識を持ち、並外れた熱量で没頭する人のこと。対象はアニメや漫画に限らない。アイドル、鉄道、歴史、ゲーム、コスプレなど幅広いジャンルに使われ、「アニメオタク」「鉄道オタク」「アイドルオタク」のようにジャンル名と組み合わせるのが一般的。かつてはネガティブな響きもあったが、現在はポジティブな自称としても広く使われている。

リアコ

Riako(りあこ)

リアコとは、「リアルに恋してる」の略。アイドルや俳優、声優、アニメキャラクターなど、ファンとしての関係しか通常は持てない相手に対して、本気の恋愛感情を抱いている状態やその人自身を指す。 「推し」への応援とは異なり、交際や結婚を望むほどの恋心を伴うのが特徴。自分の気持ちを自覚した上で「リアコです」と自称するケースも多い。 ガチ恋との関係 類義語に「ガチ恋」がある。リアコは女性ファンの間で定着した表現で、ガチ恋は男性ファン寄りとされることもあるが、現在はどちらも性別を問わず使われている。 意味の違いはほぼなく、個人の好みやコミュニティによって使い分けられる程度。

ガチ恋

Gachikoi(がちこい)

ガチ恋とは、アイドル・タレント・VTuber・ライブ配信者などに本気で恋愛感情を抱くこと。またはそうした感情を持つファンを指す言葉である。推しを応援する気持ちが高じて、画面やステージの向こうにいる相手と付き合いたいと思うところまで至った状態を指す。ガチは「本気で」の意で、文字どおり本気の恋を意味する。 同じファン活動でも、推し活とガチ恋では感情の向きが違う。推す行為は応援や布教が中心で、良さを他のファンと分かち合えるのが前提になっている。一方ガチ恋は恋愛感情なので、独占欲や嫉妬を伴いやすい。同じ相手を推す他のファンを受け入れられない同担拒否につながることもある。 SNSやオタク同士の会話では、自嘲や興奮まじりに「完全にガチ恋」と状態を語る形で使われることが多い。行き過ぎると過剰な課金に向かうこともあり、ファン本人が半ば自覚しながら使う言葉でもある。

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