Kusoge
意味
クソゲーとは、品質が低く、遊んでもおもしろくないゲームを酷評する俗語。クソのようなゲームを縮めた言い方で、糞ゲーとも書く。そう評された作品そのものを指すこともある。
ただ単に貶すだけではなく、失敗作を面白がって愛でる使い方が定着している。しかし、決して良い意味ではないので、ゲームの製作者やそのゲームのファンに対して安易に使うべきではない。
日本の動画共有サイトのニコニコ動画やYouTubeには、クソゲーを遊びながら実況する投稿動画や配信が数多くを占める。自分で遊んでいるとイライラしてしまうゲームでも、第三者が実況したり誰かと共有することで面白いコンテンツになる。
本項で挙げる、いわゆるクソゲーの例も、数多くの人々に愛される”ツッコミどころ”の多いゲームである。
語源
由来としてよく知られているのは、タレントでイラストレーターのみうらじゅんが名付けたという説である。任天堂のゲーム機ファミコン向けに1985年に出た『いっき』を、みうらがクソゲームと評したのが始まりだとされる。本人も名付け親を自任している。
みうらがクソゲームという語を使った文献上の初出は、雑誌『バグニューズ』1986年8月号の連載コラム。
『いっき』は、江戸時代の百姓一揆を題材にしたアクションゲームである。百姓一揆とは、重い年貢に苦しんだ農民が領主に立ち向かった集団行動のこと。プレイヤーは農民になり、鎌を投げて、地方を治める役人である代官の手下を倒していく。
発売元はサン電子で、サンソフトの名で知られる。アーケード版に続いて、家庭用のファミコン版が出た。このソフトは約70万本を売るヒット作でもあった。
ファミコンブームと定着
1985年前後、ファミコンは爆発的に売れていた。人気に乗ってソフトを作る会社が一気に増え、質を問わないソフトも大量に出回った。
買ってみないと、当たりか外れか分からない。そんなソフトが棚に並ぶ時代に、外れをけなす言葉がいくつも生まれた。ダメソフトやクソソフトといった言い方が、入り混じって使われていた。
その中から、1986年の終わりから1987年にかけて、クソゲーが主流の言い方として定着していった。
用例
- 1 操作性は最悪、謎解きは理不尽。それでもなぜか手が伸びる、愛すべきクソゲーだった。
- 2 発売日に買ったのに、まさかのクソゲー掴まされた。次はちゃんとレビュー読んでから買う。
- 3 まわりは神ゲーだと騒いでいるけど、うちの環境ではバグだらけで、正直クソゲー寄りだと思う。
- 4 自分でプレイする気はないのに、クソゲー実況だけは何時間でも見ていられる。
補足
クソゲーと名指しされながら、長く愛される作品がある。代表格は『たけしの挑戦状』。お笑いタレントで映画監督のビートたけしが監修し、1986年にゲーム会社タイトーから出たファミコンソフトである。
理不尽な謎解きと極端な難しさで知られ、クソゲーの代名詞として語られてきた。ところが2017年にスマートフォン版が出たとき、発売元のタイトー自身が、あの伝説のクソゲーと宣伝に使った。
似た道をたどったのが『デスクリムゾン』。1996年にエコールソフトウェアが出した、セガサターン用のガンシューティングである。セガサターンは、当時のセガの家庭用ゲーム機。ガンシューティングは、銃の形のコントローラーで画面を撃つゲームを指す。
ゲーム雑誌『サターンマガジン』の読者投票では、最下位に選ばれた回数が69回という記録が残る。それでいて、かみ合わない台詞と独特の世界観がかえってファンを熱狂させ、続編まで作られた。
発売元みずからクソゲーを名乗ることもある。『いっき』を出したサンソフトは、2023年に続編『いっき団結』を出したとき、自社を元祖クソゲーメーカーと称した。
クソゲーオブザイヤー
クソゲーを語り合う文化を象徴するのが、クソゲーオブザイヤーという年に一度の企画。KOTYと略され、日本最大級の匿名掲示板だった2ちゃんねるから2004年に始まった。その年で最もひどいと思うゲームを、参加者が議論して選ぶ。
総評および各作品に対する文章の読みごたえにも定評がある。期待して購入したゲームでがっかりしてしまっても、この品評で溜飲を下げた人は少なくないはずである。逆に好きなゲームがこれに選ばれてしまい、ショックを受けた人も少なからず存在するだろう。
選出においては、ただの期待外れや好みの問題ではなく、実際に遊んで確かめられる欠陥を証拠として重んじる。転機は2007年の『四八(仮)』というソフトである。進行できなくなるバグなどが問題になり、この客観重視の姿勢が固まった。
企画そのものは2023年に活動を休止した。
類語の「バカゲー」、反対語の「神ゲー」
よく似た言葉にバカゲーがある。ただし、バカゲーは馬鹿馬鹿しさやおかしさそのものを楽しむゲームで、出来が悪いとはかぎらない。クソゲーが指すのは、あくまで完成度の低さである。
反対の意味を持つのが神ゲーで、飛び抜けておもしろいゲームを指す。日本語には、こうして語尾にゲーを付けて略す言い方が多い。
攻略できないほど難しいゲームは無理ゲーと呼ばれる。この無理ゲーについては使用範囲が広がり、現実で乗り越えようのない理不尽な状況に陥った際にも使われることがある。
英語圏のKusoge
英語圏でも、この語はローマ字の kusoge のまま通じる。英語版ウィキペディアには独立した項目がある。アメリカのゲームメディアのDestructoidも、2021年にWeekly Kusogeという連載を始めている。
どちらも、ただの bad game とは違って、愛着を込めて使われることが多い語だと明記している。
海を越えたクソゲー
英語には、ひどいのに憎めない作品をひとことで指す言葉がなかった。近いのは so bad it's good という言い回しで、ひどすぎてかえっておもしろい、という意味になる。現象としては同じでも、一語では言い当てられない。そこへ kusoge が輸入され、少しずつ根づいてきた。
アメリカにも、伝説として語られる失敗作がある。1982年に家庭用ゲーム機Atari 2600向けに出たE.T.は、史上最悪のゲームとまで呼ばれた。映画を題材にしながら、開発にかけられた期間はおよそ5週間だったという。
ゲーム『E.T.』の都市伝説
この作品には、もう一つの伝説がある。売れ残った大量のカートリッジが、ニューメキシコ州の埋立地に埋められたという都市伝説である。長く語られてきたこの話は、2014年の発掘調査で裏づけられた。掘り出された1,300本超のカートリッジには、E.T.以外のタイトルも多く含まれていた。
Angry Video Game Nerd
2004年に始まったアメリカの動画シリーズ Angry Video Game Nerd、通称AVGN。古いゲームに怒りをぶつけながら酷評するコメディで、あとに続くゲーム系YouTuberに大きな影響を与えた。
使い方が独自に育った場所もある。英語圏の格闘ゲームのコミュニティでは、バグや調整ミスでバランスが壊れ、おかしな戦法が成り立ってしまうゲームを kusoge と呼ぶ。出来が悪いというより、その壊れ具合がおもしろいという意味合いである。
最終更新日
Japanese
クソゲー
Hiragana
くそげー
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