Isekai

意味

異世界(いせかい)は、文字どおり今いる現実とは別の世界のこと。アニメやライトノベルでは、現実世界の住人がファンタジー世界へ送り込まれ、そこで生きていく物語のジャンルを指すことが多い。

舞台になるのは、中世ヨーロッパ風で剣と魔法が当たり前の世界が定番。レベルやスキル、自分の力が数値で見えるステータス画面など、ロールプレイングゲームのお約束を備えた世界も多く、主人公は冒険者として腕を上げたり、魔王の討伐に巻き込まれたりする。ゲームの中の世界や並行世界が舞台になることもあり、ファンタジーは典型ではあるが必須ではない。

海外でもこのジャンルは Isekai の名でそのまま通じる。2024年にはオックスフォード英語辞典にも収録され、日本のアニメ・ラノベを代表するジャンルのひとつになっている。

語源

本来は「別の世界」を意味する日本語。I(い)=異なる、Sekai(せかい)=世界。

フィクション作品における「異世界」

別の世界へ迷い込む物語そのものは古くからある。日本の作品でも、1992年の漫画『ふしぎ遊戯』や小説『十二国記』のように、現実の人物が異世界へ飛ばされる設定は珍しくなかった。

呼び出される形では、2004年のライトノベル『ゼロの使い魔』が広く読まれ、このタイプの作品が増えるきっかけになった。

なろう系の人気爆発

流れを大きく変えたのが、同じ2004年に開設された小説投稿サイト「小説家になろう」。誰でも無料で小説を投稿・公開でき、ここから異世界もののWeb小説が次々と生まれた。

2012年にアニメ化されて大ヒットした『ソードアート・オンライン』も、ジャンルの注目度を押し上げた一作。ただしこれはオンラインゲームの中に閉じ込められる物語で、別の世界へ移り住むわけではないため、厳密には異世界ものに含めないという見方もある。原作者自身も異世界という括りには否定的だ。

こうした作品の広がりとともに、異世界、英語圏での Isekai という呼び名が定着していった。

2012年前後には、なろう発の人気作が相次いで書籍化・アニメ化された。命を落としたのち別世界で生き直す『無職転生』、スライムに転生する『転生したらスライムだった件』、見知らぬ世界に飛ばされた少年を描く『Re:ゼロから始める異世界生活』、コメディ色の強い『この素晴らしい世界に祝福を!』など、多くは2012年から2013年ごろに投稿サイトで連載が始まった作品群。日本ではこうした作品をまとめて「なろう系」と呼ぶこともある。

ブームが過熱すると、似た設定の作品が増えすぎたという声も出てくる。2016年には文学フリマと小説家になろうが共催した短編コンテストが、2017年にはKADOKAWAの小説コンテストが、それぞれ異世界転生・転移ものの応募を断った。ジャンルとして定番化したことの裏返しでもあった。

用例

  • 1 「最近の深夜アニメ、異世界転生ものばっかりだな」「もはや一大ジャンルだよね」
  • 2 「現実がしんどい日は、異世界転生したいって本気で思う」
  • 3 「主人公、開始5分でトラックに轢かれて異世界行きだったわ」「Truck-kun、今日も平常運転」
  • 4 「最近は悪役令嬢に転生する系の異世界にハマってる。乙女ゲームの世界が舞台のやつ」

補足

転生・転移・召喚の違い

異世界へ行く方法には、大きく分けて3つのパターンがある。入り口が違うだけで、たどり着いた先での展開は似ることも多い。

異世界転生は、主人公が現実世界でいったん亡くなり、別の世界で生まれ変わるパターン。赤ん坊から人生をやり直したり、前世の記憶を持ったまま育ったりする。『転生したらスライムだった件』のように、人間以外の存在に生まれ変わることもある。

異世界転移は、死なずにそのまま別の世界へ飛ばされるパターン。ある日突然、見知らぬ世界に立っている。『Re:ゼロから始める異世界生活』が代表的。

異世界召喚は、向こうの世界の住人に呼び出されるパターン。魔王を倒す勇者として連れてこられる筋立てが多い。『ゼロの使い魔』がよく知られる。

なお投稿サイトの分類では転生と転移の2つで整理されることが多く、召喚は転移の一種として扱われる場合もある。

ゲームのようなお約束

多くの異世界ものは、ロールプレイングゲームに似た決まりごとを共有している。レベルやスキル、自分の能力が数値で見えるステータス画面、冒険者ギルド、魔王と勇者という枠組み。

主人公は授かった特別な力、いわゆるチート能力で圧倒的に強いことが多く、敵を難なく打ち倒す痛快さから「俺TUEEE(おれつえー)」と呼ばれる。共通のテンプレートがあるぶん、初めて触れる人でも世界観に入りやすい。

トラックに轢かれて異世界へ

異世界転生の定番として知られるのが、主人公がトラックに轢かれて命を落とし、別の世界で目覚めるという始まり方。あまりに多くの作品で使われたため、海外のファンはこのトラックを Truck-kun と呼んでネタにしている。主人公を異世界へ運ぶ装置としてお約束化した、ジャンルを象徴するミーム。

悪役令嬢もの

少女・女性向けの異世界で人気なのが、悪役令嬢ものと呼ばれるサブジャンル。主人公が乙女ゲームの世界に転生し、ゲームでは悪役だった令嬢として目覚める。このままでは待ち受ける破滅を、ゲームで得た知識を使って回避していく筋立てが定番。

『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』が代表作で、通称「はめふら」。2020年のアニメ化で広く知られた。

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最終更新日

Japanese

異世界

Hiragana

いせかい

Table of Contents

関連用語

関連する日本文化の用語をご覧ください。

なろう系

Narou Kei(なろうけい)

Web小説投稿サイト「小説家になろう」発の作品、またはそこで頻出するテンプレート的な展開や設定を共有する作品群の総称。 異世界転生・転移、チート級の能力獲得、ステータス画面によるスキル表示、ハーレム展開といった特定のパターンを踏襲した作品を指す。必ずしも「小説家になろう」掲載作品に限らず、同様の構造を持つライトノベルやアニメ、マンガ全般に対しても広く使われている。

オタク

Otaku(おたく)

オタク(Otaku)は、アニメや漫画など日本のポップカルチャーに強い情熱を持つファンを指す言葉。英語圏ではこの意味で定着しており、好きなジャンルに深い知識を持つ人をポジティブに表す呼び方として広く使われている。 英語の「geek」や「nerd」に近い文脈で使われることもあるが、otakuには日本のアニメ・漫画文化と結びついた独自のニュアンスがある。海外のファンコミュニティでは、誇りを込めて自称する人も少なくない。 日本国内での意味 日本語の「オタク」は、特定の分野に深い愛着と知識を持ち、並外れた熱量で没頭する人のこと。対象はアニメや漫画に限らない。アイドル、鉄道、歴史、ゲーム、コスプレなど幅広いジャンルに使われ、「アニメオタク」「鉄道オタク」「アイドルオタク」のようにジャンル名と組み合わせるのが一般的。かつてはネガティブな響きもあったが、現在はポジティブな自称としても広く使われている。

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