Haken Anime
意味
覇権アニメとは、同じクールに放送されているアニメ作品の中で、もっとも人気と話題を集めた一本を指すアニメファンの言葉。アニメは春・夏・秋・冬の3か月ごとに新シリーズが始まるクール制で編成されている。その3か月のあいだに売上や視聴数、SNSの盛り上がりなどで他作品を上回ったと見なされた作品が、「覇権を取った」と語られる。
公式の称号ではなく、ファンの議論のなかから生まれる呼び名である。判定基準も明文化されておらず、円盤の売上を重んじる人、配信ランキングを重視する人、SNSの熱量で測る人と、立場によって意見が割れる。
英語の anime of the season に近いが、こちらはその期に評価が高かった作品を穏やかに指す表現にとどまる。覇権アニメには他の作品を押しのけてトップに立ったという含みが乗る点で、印象が少し異なる。
語源
覇権という熟語そのものは、覇者が他を制して支配することを意味する古い言葉。中国の春秋戦国時代から使われ、日本でも歴史書や政治を語る場で「覇権を握る」「覇権争い」といった形で長く使われてきた。
これがアニメ文化に流れ込んだのは2000年代後半から2010年代前半にかけて。2chやふたばちゃんねるといったアニメ系掲示板で、毎クール始まる新作アニメをファンが並べて比較する文化があった。「今期の覇権はどれか」というスレッドが定着していったのもこの時期だ。
円盤売上が物差しだった時代
2010年代前半までは、Blu-rayやDVDの初動売上が覇権を決める一番の指標だった。1万枚売れれば覇権候補、3万枚を超えれば文句なしの覇権、と数字そのものが議論の中心になっていた。「魔法少女まどか☆マギカ」や「Fate/Zero」など、この時代に語り継がれる作品の多くは、円盤売上の数字とともに記憶されている。
配信時代への移行
2010年代後半に入ると、視聴の中心は配信サービスへ移った。円盤を買う層が縮小し、売上だけでは作品の支持が測れなくなる。
代わりに目を向けられるようになったのは複数の指標である。dアニメストアやAmazon Prime Videoの視聴ランキング、X(旧Twitter)のトレンド入り、ファンアートやMAD動画の本数、聖地巡礼の盛り上がりなどがそれにあたる。覇権を判断する材料が一つから複数に増え、議論の幅も広がっていった。
用例
- 1 「今期の覇権、どれだと思う?」「うーん、SNSの盛り上がりなら○○、円盤の売上で言えば△△かな」
- 2 A「○○、ぶっちぎりで覇権だわ」B「いやいや、まだ3話だぞ。判断早すぎでしょ」
- 3 「あのクールの覇権アニメ、何年経っても語り継がれてるよね」「うん、あれは別格だった」
- 4 「今期は覇権候補が多すぎて選びきれない」「贅沢な悩みだな」
補足
ファンごとの距離感
同じ覇権という言葉を使っていても、ファンのあいだには温度差がある。売上や視聴数を本気で集計し、データを並べて議論する層がいる一方、自分の推し作品を半ば冗談で「うちの推しが覇権」と持ち上げる軽い使い方も広く見られる。
反対に、覇権という言葉そのものを避けるファンもいる。作品の良し悪しを売上や数字で測る空気に違和感を覚える層や、競争を煽る言い方になじめない層がここにあたる。
「ハケンアニメ!」という小説
覇権アニメというファン用語が一般層にまで知られるきっかけのひとつに、辻村深月の小説「ハケンアニメ!」がある。2014年に単行本が刊行され、2022年に吉岡里帆主演で実写映画化された。クールの頂点を取る作品をつくろうと奮闘するアニメ業界のプロデューサーや監督を描いた物語で、業界スラングをタイトルに据えた作品として注目を集めた。
海外コミュニティでの広がり
英語圏のアニメコミュニティでは anime of the season という言い方が一般的で、その期に評価が高かった作品を緩やかに指す。MyAnimeListやAniListのスコア上位、Redditで盛り上がった作品が season's top として並ぶ程度。日本のように厳密に一本だけを覇権として位置づける感覚は、海外コミュニティではあまり強くない。
ただし近年は海外ファンのあいだでも haken anime という日本語をそのまま見かけるようになっており、日本独自のニュアンスを含んだ語として知られ始めている。
最終更新日
Japanese
覇権アニメ
Hiragana
はけんあにめ
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