日本の伝統行事「節分」とは?鬼の扱いや豆まきについて解説

Sana Yoshida

節分は、季節の始まりの日(立春・立夏・立秋・立冬)の前日のことを言います。江戸時代以降は2月4日頃に訪れる「立春の前日」を指すことが多く、豆撒きや厄除けが行われます。
節分には何をする?

Oni at Setsubun Matsuri / PIXTA
地方や神社により、節分行事の内容は様々です。
古来から季節の変わり目には邪気(鬼)が生じると信じられており、悪霊払いの儀式が行われていました。旧暦の大晦日と宮中で行われていた厄払いの行事が合体し、さらに庶民の生活に取り入れられたことで、現在の「節分」が生まれたと言われています。
地方によって行事は異なりますが、豆まきをしたり、柊の枝に鰯の頭を刺したものを家の戸口に置いたりするのが定番です。また、鬼退治の英雄として知られる渡辺綱や坂田金時と同じ苗字を持つ渡辺、坂田という家には鬼が寄り付かないとされ、豆まきをしなくてよいと言われています。
節分ならではの食べ物
福豆

Fuku mame (Lucky beans) / Photo AC
健康と無病息災を願う行事である節分では、「魔目(鬼の目)」を滅ぼす力があるとされる豆をまき、鬼を追い出す風習があります。「鬼は外、福は内」と掛け声を発しながら、炒り大豆や殻付きの落花生をまくのが基本です。また、自分の年齢と同じ数の豆を食べることで、邪気を祓えると信じられています。

Fuku Cha (Lucky Tea) / Photo AC
関西や北陸地方には炒り大豆と塩昆布、梅干しの入った湯呑にお湯を入れる「福茶」もあり、年齢の数の豆を食べるのが難しい場合はこれを飲むとよいとされています。
恵方巻

Ehō Maki (Ehō Roll) / Photo AC
節分の定番となりつつあるのが、関西発祥の太巻き寿司・「恵方巻」です。その年の恵方となる方角を向き、無言で食べきることで幸運を招くと言われています。福を断たないよう丸かじりする必要があると言われていましたが、最近では切り分けて食べてもOKとされています。
七福神にちなんで「かんぴょう・きゅうり・だし巻き卵・うなぎ(または穴子)・桜でんぶ・シイタケ煮・高野豆腐」という7種類の具材を入れることが多いほか、マグロやイクラを入れた海鮮恵方巻、トンカツや牛焼き肉が入った肉系の恵方巻も。そこから派生し、恵方巻に見た目を似せたロールケーキなども販売されています。

Ehō Roll Cakes / Photo AC
他にも、鰯のつみれ汁や梅煮、精進料理であるけんちん汁、節分が旧暦の大晦日に行われていたことから生まれた「節分そば」などが存在します。
アニメや漫画の"鬼キャラ”が注目を集めるイベント
昔話や童話では妖怪として登場することが多い鬼ですが、神のような存在として描かれることもあり、作品によって立ち位置は様々。大きく分けると「死者の霊や大地の霊」、「天狗など、山岳宗教における神・妖怪」、「邪鬼や夜叉など、仏教における魔物や精霊」、「盗賊や凶悪な犯罪者」、「怨念や怒りによって人間が変身した怪異」に分類され、恐怖の対象だけでなく、崇拝対象、親しみ深いキャラクターにもなっています。
妖怪としての鬼は、頭に一本または二本の角が生えた体格の良い人型の怪異として描かれるのが一般的です。虎の皮を身にまとい、金棒などの武器を持ち、肌は赤や青で描かれる場合も多くあります。漫画やアニメで節分の描きおろしイラストが発表される場合、キャラクターが角や金棒で鬼のコスプレをした姿、豆まき・恵方巻を楽しむ様子が描かれることが多いです。
種族が「鬼」のキャラクター
高橋留美子先生の人気漫画『うる星やつら』のヒロイン・ラムや、吾峠呼世晴先生の漫画『鬼滅の刃』の竈門禰豆子、『仮面ライダー響鬼』の音撃戦士、『妖怪ウォッチ』の赤鬼や青鬼、Fateシリーズの酒呑童子、PCゲーム『東方Project』シリーズの伊吹萃香などがこれにあたります。『鬼滅の刃』の鬼舞辻無惨など、強大な力を持つ敵として登場することも多くあります。
作中で「鬼」と呼ばれるキャラクター
見た目が恐ろしかったり、周囲から抜きんでた強さを持っていたり、態度が非常に厳しいキャラクターは「鬼のよう」と表現されることがあります。「鬼嫁」と言われることもある『ドラゴンボール』シリーズのチチや『クレヨンしんちゃん』のみさえ、背中の筋肉が鬼の貌に見えることから"オーガ(鬼)”や"地上最強の生物”と称される『グラップラー刃牙』シリーズの範馬勇次郎、「鬼軍曹」と呼ばれる上司・先輩キャラ、圧倒的な実力で敵味方問わず「鬼神」と畏怖されるキャラクターなどがいます。
歴史上の人物の中にも、数多くの武功から「鬼柴田」と呼ばれた戦国武将・柴田勝家、その厳格さから「鬼の副長」と呼ばれた新撰組・土方歳三などが実在しており、彼らを描いた漫画やドラマも人気を博しています。
歌舞伎や能でもお馴染みの”鬼”たち

Demon vs Samurai (Shutendoji vs Yorimitsu) / PIXTA
酒呑童子、茨木童子
平安時代、京都の大江山に拠点を構えていた鬼たちのリーダーが酒呑童子、その腹心が茨木童子です。ともに人間だったころは美しい容姿だったと言われており、多くの伝説を残しています。頼光四天王(源頼光と、家臣である渡辺綱、坂田金時、碓井貞光、卜部季武)による鬼退治の物語は、歌舞伎や能、絵巻物などのモチーフとして取り上げられてきました。
鬼婆
全国各地に伝承や民話が残っている老女の鬼です。多くは山奥に住んでおり、道に迷った旅人が宿を求めて訪ねてくると、親切にもてなすふりをして油断させ、食べてしまうとされています。もっとも有名なのは、福島県にある「黒塚」にまつわる「安達ヶ原の鬼婆伝説」で、人間だった女性がとある悲劇から心を病み、鬼になってしまったという逸話があります。
橋姫
貴船神社で「妬ましい女を取り殺すため、生きながら鬼神になりたい」と願い、神様から言われた通りに儀式を行ったことで鬼となった女性です。妬ましい女とその親族、恋人の男を殺し、さらには目についた人間まで次々に殺したことで、京都に住む人々は恐怖に陥ります。7日間にわたって丑三つ時(午前1時から3時)に神社の御神木に藁人形を釘で打ち付け、憎い相手を呪う「丑の刻参り」の原型となった存在とされています。
般若

Hannya / Photo AC
能楽で使用される仮面・能面の中でも特に有名な「般若の面」の鬼です。能楽においては嫉妬に狂う女性を表す面で、二本の角と大きく開かれた口から見える牙、乱れた髪の毛が特徴です。また、能では女性の怒りや嫉妬、恨みの熾烈さによって能面を使い分けており、般若は女性が鬼になる途中の姿を模した面。『源氏物語』において光源氏の正妻・葵上への恨みから鬼になった六条御息所の怨霊が登場する『葵上』、修行僧に恋した女が裏切られた恨みから大蛇となる『道明寺』、安達ヶ原を旅する山伏一行を描く『黒塚(安達ヶ原)』などで用いられます。





