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着物の柄と、そこに込められた意味を解説

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Sana Yoshida

着物の柄と、そこに込められた意味を解説

着物を着るときの楽しみの一つに、色や柄選びがありますよね。ただ、着物の柄にはそれぞれ意味が込められており、それを知ることで、場にあった柄を選ぶことができたり、よりコーディネートが楽しくなったりします。着物で使われることが多い和柄について、名前と意味を見ていきましょう。

この記事では、「幾何学模様」、「生き物」、「草花」、「風景」、「その他」にわけて、主要な柄をご紹介していきます。

幾何学模様

比較的落ち着いた雰囲気から、草花などと組み合わせた華やかなものまで、様々な場所で使われている文様です。縞や市松、亀甲などは男性の着物におけるスタンダードな柄となっています。

Vertical stripes in dark blue, olive green, and burnt orange, with thin white and light brown lines.

端正・清廉・誠実を意味し、繰り返しの線は繁栄の継続、秩序などを意味します。最もシンプルな文様のひとつで、線の太さ、線の間隔、配色などで大きく印象が変化します。

男性の着物の柄として多く用いられています。

矢絣(やがすり)

A repeating pattern of interlocking blue and gold arrows.

安土桃山時代に武士の着物で用いられていた文様です。「不幸を祓い、幸運を射止める」と言われる破魔矢*が描かれていることから、江戸時代以降は縁起物として扱われるようになりました。

※Hama=破魔/邪悪なものを破る、Ya=矢

また、矢を射るとまっすぐに進んで戻らないことから、結婚後に「出戻らない」という願いも込められています。大正時代に女学生の制服に使われていたこともあり、レトロな雰囲気が人気です。

市松模様

A checkerboard pattern of dark green and dark brown squares.

二色の正方形による格子柄のことを言います。佐野川市松という歌舞伎役者が舞台衣装に用いたことからこの名が付きました。柄が途切れることなく続いているように見えることから「繁栄」の意味があります。

週刊少年ジャンプで連載されていた大人気漫画『鬼滅の刃』の主人公・竈門炭治郎(かまどたんじろう)の着物の柄でもあります。

麻の葉(あさのは)

Repeating pattern of red six-pointed stars on a light pink background.

浅野派の成長の早さにあやかって、子供の健やかな成長や厄除けの意味が込められています。『鬼滅の刃』で、炭次郎の妹・禰豆子(ねずこ)の着物の柄としても有名です。

青海波(せいがいは)

Blue and white Japanese wave pattern.

半円弧を重ね、波のうねりを現した文様です。果てなく連続した波は調和と循環を表しており、穏やかな暮らしや家族円満・繁栄の願いが込められています。

紗綾形(さやがた)

A repeating geometric pattern of white interlocking lines on a light teal background.

仏教における吉祥を表す記号で、かつての日本ではキリシタンが十字架の代わりにした「卍(まんじ)」を歪めて連結させた文様です。卍が途切れず繋がっていることから、長寿・家の繁栄を願うめでたい文様として知られています。

White diagonal grid pattern on a black background.

ひし形をベースにした文様です。水草の実を由来としており、「生命力」と「繁栄」を表します。「武田菱」「松川菱」「花菱」などの派生も多く、着物から帯まで幅広く用いられます。

七宝(しっぽう)

Seamless pattern of light gold petal shapes on a white background.

七宝とは仏教の言葉。「金・銀・瑠璃・玻璃・珊瑚・瑪瑙(めのう)・しゃこ」といった宝物のことを指します。丸が重なり、つながっていくような柄で、円(縁)のつながりは七宝と同じ価値があるという意味が込められています。「円満」「ご縁」を示す文様です。

生き物

古典的な鳥や魚はもちろん、最近では猫、犬やキリンなどを可愛らしいイラストにしたデザインの着物も生まれています。人気キャラクターを取り入れた柄などもあり、ポップな着こなしもできるものが多くあります。

Ornate Japanese textile with red-crowned cranes, orange flowers, and gold patterns.

Red-Crowned Crane / Photo AC

日本には「鶴は千年、亀は万年」という言葉があり、古くから長寿の象徴です。また、鶴はつがいと一生を添い遂げることから、夫婦円満の象徴としても知られています。こうした理由により、結婚式で花嫁が身に着ける色打掛の柄の定番となっています。

亀甲(きっこう)

Purple background with a light grey hexagonal pattern.

亀の甲羅をモチーフにした六角形を並べた模様です。鶴と同じく、「鶴は千年、亀は万年」という言葉があるように、長寿と健康の願いが込められています。

鳳凰

Close-up of a golden kimono with colorful embroidered phoenixes, flowers, and clouds.

中国では「鳳凰は平和で幸せな世界が訪れるとき現れる」という言い伝えがあります。そのため日本でも、平和・幸せの象徴として愛されています。

Seamless pattern of light pink rabbits and grey/blue Japanese motifs on white.

足の速さや跳躍力から「飛躍」、月に兎の文様があることから「ツキを呼び込む」、繁殖力の高さから「子孫繁栄」と、様々な意味を持つ縁起ものです。

Decorative gold and cream paper with multicolored butterfly patterns.

Butterfly Patterns Washi / Photo AC

「成長祈願」「夫婦円満」の意味がある文様です。芋虫、さなぎ、蝶へと変容していく様子を、健やかな成長と重ねています。また、産卵期の蝶はつがいで仲睦まじいため、吉祥文様としても使われています。

鱗(うろこ)

A seamless pattern of magenta triangles on a white background.

正三角形を配置し、魚や蛇の鱗を表現した文様です。鱗は「魔除け・厄除け」の象徴とされているほか、蛇が脱皮を繰り返して大きくなることから「再生・成長」の意味もあります。

植物、花

四季を大切にする日本において、草花のモチーフは季節を少し先取りして着用されます。春は桜や牡丹、初夏はあやめ、藤、夏は朝顔やあじさい、秋は紅葉や菊、冬は椿、梅など、季節に合わせたお洒落を楽しみましょう。

松竹梅(しょうちくばい)

Embroidered textile with a pine tree, bamboo, and plum blossoms.

砂地や真冬といった厳しい環境でもイキイキとした緑色の葉をつける「松」、成長が早く1年を通して葉をつける「竹」、冬の終わりにいち早くつぼみを付けで芳香を放つ「梅」を組み合わせた柄で、「生命力」、「忍耐」力を象徴します。

日本においては慶事のシンボルであり、お弁当のランク付けにも使用されるなじみ深いアイテムです。ちなみに、ランクが高い順に「松→竹→梅」となっています。

Intricate Japanese floral pattern on magenta fabric, with pink peonies and white blossoms.

Sakura Patterns Kimono / Photo AC

日本の国花であり、春の花の代表格である桜は、美しさや物事の始まりを意味します。また、かつて桜は五穀豊穣の象徴だったことから、縁起の良い文様とされています。

牡丹

Pastel stylized Japanese flowers and traditional patterns on a blue gradient background.

Botan Patterns / Illust AC

日本には女性の美しさを表現する「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という言葉があります。牡丹は花弁の大きさから、「風格」や「富貴」、「美しさ」のモチーフとして用いられてきました。

椿

A seamless pattern with red camellia flowers, small white flowers

Tsubaki Patterns / Illust AC

平安時代より、不老長寿の薬や化粧品として重宝されてきた「椿」。「高貴」「神聖」を表す花として知られています。

花丸文

Five colorful, stylized Japanese floral designs on a white background.

Hanamarumon / Illust AC

草花を円形に配置した柄で、リアルな花からデフォルメされたもの、幾何学模様風のものまで様々なデザインがあります。日本では「丸(円)」が非常に重視されることから、結婚式などでも広く用いられている文様です。

風景・自然

エ霞(えがすみ)

Green watercolor background with light green cloud patterns and scattered gold flecks.

Egasumi Patterns / Illust AC

霞が揺らぐ様子を日本語のカタカナ「エ」のように並べた文様です。現れては消える霞になぞらえて「永遠」の意味を持っています。

雪輪(ゆきわ)

Twelve Japanese traditional patterns in black, white, and gray, each contained within a scalloped circular shape.

Yukiwa Patterns / Illust AC

雪の結晶をもとにした文様です。冬に積もった雪が春に溶け、自然をはぐくんで恵みをもたらすことから、「豊作」を象徴しています。

立涌文(たてわくもん)

A seamless pattern of vertical wavy stripes, alternating between dark blue and white.

波型のラインが縦に入った文様で、2本のラインで立ち上っていく雲や水蒸気を表します。見た目の通り「上昇」を意味するほか、上に向かう模様ということで「運気アップ」の象徴でもあります。

観世水(かんぜみず)

Stylized gray wave pattern on white.

水が流れている様子を描いた文様です。能楽の流派である「観世流」の観世太夫や、琳派の画家・尾形光琳も使用したと言われており、着物だけでなく美術品・工芸品などにも用いられている文様です。常に変化し、姿を変える水に未来永劫の理想を重ねたと言われています。

御所解(ごしょどき)

Japanese embroidery depicting a serene landscape with a winding river, arched bridge, traditional house

Goshodoki Patterns / Photo AC

明確な定義や様式はなく、山水風景、様々な花、『源氏物語』などに登場する御殿の様子といった意匠が描かれています。御殿の様子を描いている場合、御所車(高貴な人間が使用した乗り物)や几帳(高貴な方を衆目から隠すための仕切り)、柴垣(敷地と外を分けるための垣根)などがちりばめられています。

その他

A light blue background with white Japanese fans, morning glories, and water ripples.

Ogi Patterns / Illust AC

形が末広がり(将来に向かってよい方向に広がっていくこと)になっているため、「繁栄」「発展」「開運」を意味するモチーフです。日本では室町時代からご祝儀として扇を送る風習があり、現在も礼装を着る際はセットで扇を持つことが多くあります。

熨斗(のし)

Traditional Japanese fabric pattern with red and orange flowers, fans, and ribbons on a white background, outlined in gold.

Noshi Patterns / Photo AC

あわびを薄く引き伸ばして乾燥させた「のしあわび」が由来になったモチーフです。のしあわびは進物に添えられていたことから、現代でも熨斗袋に模様が描かれています。曲線のシルエットが美しい文様で、大胆なデザインで映えることから振袖などに用いられています。

宝尽くし

Golden traditional Japanese symbols including horses, fans, and floral motifs.

Takarazukushi Patterns / Illust AC

打出の小槌、如意宝珠、分銅、巻軸、金嚢(きんのう)といったアイテムがちりばめられている文様です。宝物を集めた中国の文様を日本風にアレンジしたもので、モチーフになる宝は地域によっても異なります。特定のモチーフを集めて華やかに配置する文様は、他にも「楽器つくし」や「貝つくし」といったものが存在します。

おめでたい場面では縁起が悪い柄

基本的に好きな柄を選んでOKですが、結婚式や披露宴といった席、伝統や格を重んじる相手に会う時は避けたほうがいいとされる柄もあります。ただし、現代では気にする人も減っているので、そこまで神経質になる必要はありません。

海外在住の方が着物を着て結婚式へ参列する機会は少ないと思いますが、オリジナルのイラスト制作や二次創作でのファンアートなど、創作活動では役立つことがあるかもしれません。着物の柄に「敢えて」含ませることで、何か別のメッセージを込めることができるかも……?

ひらひらと飛んで行ってしまうことから、「移り気」「浮気」といったイメージがあります。

春の定番柄ですが、儚く散ってしまうため結婚式では向かないとされています。

藤の花

垂れ下がるように咲く姿が美しい藤の花ですが、「未来が下がり調子」という印象を持たれることがあります。

こぼれるように散る様子が別れを連想させるとされています。ただし、「松竹梅」の場合は縁起が良く、慶事にもぴったりの文様です。

椿

こちらも冬の定番ですが、散り際にぼとりと花が落ちるため、「死」を連想させるとして避けられています。

不完全な文様、破れた形状を連想させる柄

紹介してきた多くの文様で「柄が途切れず繋がっていること」が特徴になっていました。そのため、途中で文様が途切れているように見えるデザインは、格式や縁起を重んじる場では避けたほうが無難です。一方で、パンクな着こなしがしたい時など、ラフに着る普段着としての着用はOKです。

骸骨

現代ではパンク、ロックなファッションとしても人気の骸骨柄ですが、「死」を連想させるため、これも格式や縁起を重んじる場では避けたほうが無難です。しかし、仏教における「輪廻転生」の思想から生まれた柄で、「魔除け・厄除け」や「再生」の意味があり、実は縁起の良い柄なんですよ。

「好きな柄」を選んでも、「意味」を大事にしてもいい

現代では、柄が持つ意味よりも華やかなデザインが重視されることも多く、縁起に対してあまりナーバスにならなくても問題ありません。また、花をモチーフにした文様は、描かれ方や組み合わせによって縁起が良いものになることも。気になる場合は着付けのプロなどに相談してみるとよいでしょう。

着物の柄と、そこに込められた意味を解説してきました。ぱっと見の印象や帯をはじめとするアイテムとの相性で着物を選ぶのもいいですが、意味を知るとより楽しくなりますね。着物を見るときや選ぶときは、ぜひ使われている柄やモチーフにも注目してみてください。

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最終更新日