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着物と浴衣の違いって何?初心者向けの浴衣や帯も紹介

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Sana Yoshida

着物と浴衣の違いって何?初心者向けの浴衣や帯も紹介

日本文化のひとつである「着物」と「浴衣」。観光地では着付け体験、街歩き体験などがたくさんありますが、初心者からすると、違いがよくわかりませんよね。

元々「着物」とは「着るもの」のことで、衣服全般を指していました。しかし、日本で洋服が普及・浸透した結果、和服が着物と呼ばれるようになり、結婚式や成人式、卒業式といった場で着るフォーマルな衣服という扱いになりました。そして、厳密に言えば浴衣も着物の一種です。

では一般的な着物と浴衣はどう違うのか?その使い分けはどうするのか?という疑問に迫っていきましょう。

着物と浴衣の違いは「季節」と「格」で出る

Three women modeling different traditional Japanese kimonos and a yukata.

Left: Formal kimono, Center: Semi formal kimono, Right: Casual yukata / Photo AC

ざっくりと違いを述べるのであれば、着物は通年外出着として身に纏うことができ、浴衣は基本的に外で着るのは夏だけ

また、着物は素材や柄次第で格式の高いフォーマルな場でも着られますが、浴衣はカジュアルなシーンで着ることに特化しています。

それぞれについての細かい解説は以下に続きます。

着物と浴衣の「季節」の違い

Display of various patterned Japanese fabrics, including rolls, draped cloths, and folded pieces.

Kimono / Photo AC

着物は裏地のある袷、裏地のない単衣があり、使い分けることで通年着用できます。

しかし、浴衣は単衣で仕立てられているものなので、着用するのは夏の間だけ。日本の気温であれば6月から9月が目安です。

浴衣は夏祭り、花火大会はもちろん、ビアガーデンなどで着ている人も多く、夏のお洒落のひとつといえるでしょう。汗や水分を吸収しやすく洗濯もしやすい木綿、麻、手入れが簡単なポリエステルといった素材が多く、熱い時期でも快適に着ることができます。

季節ごとに使い分けられる「着物」

袷 (あわせ)

10月~5月頃に着られる、裏地の付いた着物です。透け感が全くなく、温かく着ることができます。そのため、最近の気温では10月や5月に着るのは暑すぎることもあります。伝統を尊重することも大切ですが、気温や体調に合わせて着こなしを楽しみましょう。

単衣 (ひとえ)

裏地のない着物で、6月の夏単衣、9月の秋単衣があります。もともと生地が厚いウールの着物は単衣で仕立てられることが多いです。

薄物 (うすもの)

透け感のある素材で作られた絽(ろ)・紗(しゃ)・羅(ら)などのことを言います。7月末から8月末までの真夏に着用しますが、9月でも30度を超える日が続くこともあるので、気温に合わせて快適なものを選びます。

また、単衣や薄物は浴衣と混同されがちですが、一般的に使われる素材が異なります。また、着物の場合は着付けの際に長襦袢を着る、足袋を履いて草履と合わせる、フォーマルな帯とも合わせることができるなど、かしこまった場にも着ていけるのが大きな違いです。

そんな「場面」に関する違いについては、次の項目で触れていくことにしましょう。

着物と浴衣の「格」と「場面」の違い

着物は仕立て方、生地の素材や色、柄などによって、普段着から格の高い第一礼装まで対応しています。一方、浴衣はカジュアルな衣服であり、かしこまった場には適していません。

着物に合わせる草履は主に革でできており、歩くときにも静かです。一方、浴衣に合わせる履物は基本的に木の下駄。カランコロンと音が鳴るのは風情があって素敵ですが、音を立てないほうがいい場所、例えば、美術館や博物館、図書館には向きません。

Two close-ups of traditional Japanese footwear and garments

Left : Kimono with Zori , Right : Yukata with Geta / Photo AC

他にも、ドレスコードでサンダルが禁止されている高級レストランや料亭、結婚式、夏祭りなどを除く神社などへのかしこまった参拝、クラシックコンサートや歌舞伎を上演している劇場、正式なお茶会など、フォーマルな場では浴衣の着用は避けましょう。

一方で、江戸の風情が残る浅草や人形町といった下町散策、夕涼みイベントなどは浴衣にぴったり。イベントやお店によっては、浴衣を着ている人向けのサービスを行っていることもあります。夏の日本を楽しむ存分に楽しむために、浴衣イベントについて調べてみるのもいいかもしれませんね。

浴衣について知る

さて、着物と浴衣の違いが分かったところで、ここからは「浴衣」について詳しく触れていきます。

浴衣の歴史とデザイン

着物はなんと3世紀頃に生まれたと言われる歴史ある衣服。現代の形の原型が完成したのは平安時代と言われています。浴衣も、平安時代の貴族が蒸し風呂に入る際、汗を吸収させるために着用した「湯帷子(ゆかたびら)」が元になっていると言われます。この名残で、館内着に浴衣が採用されている旅館や温浴施設が多いんですね。

Two people in green robes clinking small ceramic cups during a traditional Japanese meal.

Dinner in Japanese Onsen Inn / Photo AC

浴衣は湯上りに着るパジャマのようなものだったため、元々は白や紺色など、落ち着いた色合いが中心でした。しかし現代では、夏の粋なお洒落として、様々な色・柄のものが存在します。

着物と同じく花をモチーフにした柄が多く、梅や百合、椿といった古典的な柄はもちろん、夏らしい朝顔やひまわり、比較的最近登場したバラ、小ぶりな花が可愛らしい撫子や水仙などが人気。また、涼しげな金魚、風鈴、笹の葉や、華やかさ満点の花火柄などもあります。ストライプやドット、北欧テイストや洋柄など、モダンなデザインも人気です。

新しい浴衣

和服の中でも、特にカジュアルな浴衣。最近では、家で洗えるだけでなくシワになりやすく保管も簡単なもの、一人でも簡単に着られる「セパレート浴衣」、複雑な帯結びをしなくてもいい「作り帯」、「ワンタッチ帯」など、便利なアイテムが多数登場しています。

特に女性は、一人で着物を着るのは非常に難しく、着付け教室などに通う方が多いですが、浴衣であれば解説動画などを見て自分で挑戦しやすいので、興味がある方はぜひ試してみてくださいね。

セパレート浴衣

Folded yukata-style set with green, teal, navy, and white geometric patterns, and a dark blue crinkled sash.

Separate Yukata / Photo AC

上着とスカートが別になっており、洋服感覚で着られて着崩れもしにくい浴衣です。和服を着慣れていない方にとっては、動きやすく便利な他、上着を脱ぐとワンピースや巻きスカートとして着ることができ、手軽に和柄を楽しむこともできます。

一方で、多くの商品に通常の浴衣と違って「おはしょり」がないこと、簡単に着られるよう形が変更されていること、手軽に扱える合成繊維の生地が多いことから、「安っぽい」「ダサい」というイメージを持たれることもあります。動きやすさを重視する場合や気軽に和服を楽しみたいときはセパレート浴衣、伝統文化を楽しみたい・風情のある場所に行くといった場合は通常の浴衣など、それぞれに合ったシーンで着用してみてくださいね。

作り帯

Lavender pre-tied obi with a large bow and subtle glittery floral patterns.

Tsukuri Obi (Pre-Tied Obi) / Photo AC

背中部分に来る結びの部分(リボン結びを中心に、文庫結や角出しなど)の形が完成しており、胴体に帯をまいた後で背中側に差し込めば完成する帯です。

通常浴衣で使用する「半幅帯」は4m近い長さがあり、裏表で色や柄が違うリバーシブルのものが多くあります。そのため、きれいに柄が見えるように位置を調整したり、結びの部分に必要な長さを計算して巻くのはなかなか難しいもの。巻く時の力が弱いと、過ごしているうちに緩んでくるなどのトラブルも起きてしまいます。作り帯は誰でも簡単に扱えるうえ、結びの部分が崩れないのがメリットです。

ワンタッチ帯

the blue tapes

Magic tape / Photo AC

作り帯と似ていますが、ワンタッチ帯はさらに簡単。結びと一体化した帯で、マジックテープのベルトで胴体部分を留めるだけで完成します。作り帯は胴体部分が通常の帯になっており、慣れるまではうまく締められないという方もいますが、ワンタッチ帯はマジックテープのベルトを巻くだけなので非常に手軽です。

浴衣で訪れるのにオススメな場所

「カジュアルな衣服」である浴衣ですが、観光で各地を気軽に回るお供にはピッタリです。

着崩れしてしまうので長時間動き回ったり、激しい動きをするときにはおすすめできません。着付けをしてくれたレンタルショップ等で、直し方をレクチャーしておいてもらうと安心ですよ。

花火大会、夏祭り

Two young children in yukata play with water balloons in front of red torii gates.

Kids in Summer Festival with Yukata / Photo AC

浴衣を着ていく場所と言えば、花火大会や夏祭りが定番。花火やお囃子、境内や参道に並ぶ屋台と合わせて、日本の夏らしい風情を楽しんでください。

履物は下駄がおすすめですが、人込みの中を歩くことになるので、履きなれたサンダルでもOKです。

温泉街

Two smiling women in green yukata in a traditional Japanese room.

Onsen with Yukata / Photo AC

群馬県の草津温泉や伊香保温泉、静岡県の修善寺温泉や熱海、山形県の銀山温泉、岐阜県の下呂温泉など、全国各地の温泉街も、浴衣での街歩きが楽しいエリアです。古き良き町並みが残っている場所も多く、レトロな雰囲気やロマンを感じられます。

レンタルショップがあったり、浴衣を着ていると特典・サービスが提供されるお店も多く、観光と合わせて浴衣体験するのにピッタリです。

下町散策、クルーズ

A Japanese woman in a pink kimono smiles and gestures next to two young people in brown yukatas on a traditional street.

Walking with Yukata / Photo AC

東京で言えば、浅草や谷根千をはじめとする下町エリアの散策もおすすめです。レトロな雰囲気のお店も多く、写真映えするエリアです。

また、江戸文化として今も残る屋形船でお台場エリアや隅田川を周遊したり、夏季限定で東京湾を回る納涼船クルーズがあったりと、夏らしいイベントも浴衣で楽しむ方が多くいます。

庭園

Two smiling women in yukata hold towels and wooden boxes in a lush moss garden, one pointing up.

Moss Garden / Photo AC

東京駅近くの皇居東御苑、新橋にある浜離宮恩賜庭園、赤坂見つけにあるホテルニューオータニの日本庭園、清澄白河の清澄庭園といった美しい日本庭園も、浴衣で訪れたい場所です。

場所によって休園日や入園時間があるほか、皇居は宮中行事などによって一般公開されない日があるため、訪れる際は事前に確認しましょう。

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最終更新日