女性向けの着物について種類を紹介、場面に応じた礼装から普段着まで

Sana Yoshida

日本の伝統的な衣服である「着物」。洋服のように体のラインに沿った裁断や縫製ではなく、一枚の反物を直線断ち・直線縫いで仕上げているため、体型に左右されにくく誰でも着られるのが大きな特徴です。 多くの和服店で着物のレンタルを行っており、海外からの観光客はもちろん、着物を着る機会のない若い人にも人気なんですよ。
「着てみたい!」という方に向けて、女性の着物の種類や特徴をご紹介します。
着物の種類
女性向けの着物は、大きく分けて以下の種類に分けられます。
- 礼装
- 準礼装・略礼装
- 外出着・洒落着
- 普段着
西洋のドレスと違う点は、既婚・未婚で着る種類が明確に分かれること。
まずはそれぞれの着物の特徴から見ていきましょう。
礼装
儀式や式典などで着る、フォーマルな着物をさします。スーツやドレスでランクに合わせたデザインがあるように、着物においてもランクがあり、女性の場合、婚礼衣装としては「打掛」、未婚の女性は「振袖」、既婚女性は「黒留袖・五つ紋」が正礼装となっています。
また、めでたい席では華やかな色と柄の着物を選びますが、お葬式の場合は黒色の紋付き着物が基本です。
打掛

結婚式の衣装で、主に小袖や振袖に重ねて着用します。神前式では白無垢、披露宴では色打掛を切ることが多いです。
振袖

袖の長さが110cmを超える本振袖や大振袖は、花嫁の婚礼衣装となることもあります。
未婚女性の第一礼装であり、本来年齢制限はありません。ただ、若い女性が着るものというイメージが強く、色や柄も派手なものが多いため、30代半ばになると訪問着や色留袖を着用する方が多いようです。
黒留袖 五つ紋

地の色が黒く、五つ紋が入った着物です。裾の部分のみに「絵羽模様」と呼ばれる、縫い目をまたがった模様が入ります。
喪服

通夜や葬儀、法事の際に着用する礼装です。喪主や世話役代表、2~3親等までの親族が着用するのが、五つの紋が入った「正喪服」。
喪主以外の遺族などが着用できるのが三つまたは一つ紋付・寒色系の「準喪服」があります。同じく三つまたは一つ紋付の寒色系の着物は「略喪服」として着用できますが、格が高い・華美だととらえられてしまう場合もあるため、弔問客は洋装を推奨されることがほとんどです。
準礼装・略礼装
披露宴やお茶会、パーティーなどの場では、準礼装や略礼装でOKです。
中振袖・小振袖

成人式や結婚式への参列、お正月などの場合は、袖の長さが100cm程度の「中振袖」、85cm程度の「小振袖」を着用します。
色留袖

未婚、既婚を問わず着用できる礼装です。黒留袖と同じく裾の部分だけに「絵羽模様」が入り、紋が五つ入ると第一礼装、紋が三つまたは一つだと準礼装となります。
訪問着

未婚、既婚問わず着用できます。胸の部分から裾まで柄が入っている「絵羽模様」の着物です。
付下 (つけさげ)

「絵羽模様」ではない着物です。訪問着よりもカジュアルです。ただし、縫い目をまたがっても柄が繋がっている「付下訪問着」と呼ばれる着物もあります。
色無地 一つ紋

地の色が黒以外で無地、一つ紋が入った着物です。
外出着・洒落着
全体に小さな模様が入っている小紋の着物です。同じ模様が同じ方向に繰り返し入っており、古典柄であればフランクなお茶会やパーティーでの着用も可能です。
紬の訪問着
基本的に紬の着物は普段着ですが、「紬の訪問着」は程よくフォーマルでおしゃれ。レストランでの食事会、観劇などの場にピッタリです。
絞り
職人が手作業で染めて模様を作る着物で、非常に高価なものが多くあります。紋を入れられないため第一礼装にはなりませんが、絞りの振袖や訪問着はフォーマルな場でも着用が可能です。
普段着
普段の生活やちょっとした外出の際に着るもので、手入れや保存がしやすい着物です。
お召 (おめし)
先に染めた糸で織りあげた布を使った着物は「お召」と呼ばれています。「高貴な方がお召しになる」ことからこの名がついており、フォーマルな着物に使用されることが多いです。
紬 (つむぎ)
織の着物で、節(ふし)のある糸で織った先染めの織物です。基本的に普段着、外出着に用いられるため、高価な紬であっても茶会や結婚式の場には不向きと言われています。
絣 (かすり)
絣糸を縦と横に交差させて織る着物です。
ウール
羊毛で作った着物は、保温性と保湿性があるため温かさが特徴。厚手の生地が多く、初秋~春先に着られます。
木綿
綿糸を織った着物で、やわらかい手触りが特徴です。夏は涼しく、冬は暖かく着られるため、1年を通して着用されます。
ポリエステル
最も安価で、洗濯しても乾きやすく手入れも楽なため、初心者にオススメの生地です。
デニム
最近では、若い人を中心にデニム着物の人気も高まっています。カジュアルでユニセックスなこと、スニーカーやブーツとの組み合わせもしやすいことから、洋服のように着られる着物として注目を浴びています。
その他
浴衣

着物よりも手軽な夏の衣服として日本に根差しています。温泉宿などの館内着となっていることも多く、リラックスしてくつろぐのに適しています。
舞妓衣装

一般的な着物と違い、床に広がるほど長い裾、垂れ下がった帯などの特徴があります。また、舞妓歴や髪型に合わせて着こなしや着物の柄の見せ方、色などが変わるのも特徴。よくよく見てみると、それぞれの舞妓さんの違いがわかります。
花魁衣装

着物体験では現代風にアレンジされたメイクアップも可能
豪華絢爛な衣装のため、着物体験として人気の高い花魁衣装。舞妓と同じように裾は引きずるほどの長さです。また、花魁衣装の特徴として、帯を前で結ぶこと、襟を大きく抜くことなどがあります。
まとめ
一口に「着物」と言っても様々な種類があり、TPOに合わせて着用されていることをご紹介してきました。呉服店の着物体験、施設のイベントなどで実際に着てみることができますから、興味がある方はぜひ調べてみてくださいね。