
ちいかわ島編の元ネタ『八百比丘尼伝説』と聖地巡礼スポットの紹介
2026年夏公開の劇場版『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』。原作「島編」と日本に古くから伝わる八百比丘尼伝説との共通点を読み解きながら、愛知・福井のゆかりの地と、作中に登場する名古屋メシをめぐります。

Sakushima
佐久島周辺の楽しみ方
愛知県西尾市の三河湾に浮かぶ佐久島は、面積1.81km²ほどの小さな離島です。黒く塗られた板壁の家々が並ぶ集落と、海辺や畑のあちこちに姿を現すアート作品。一色港から高速船でおよそ20分の距離にありながら、本土とは時間の流れがすこし違って感じられます。
佐久島を舞台にした作品と、その聖地巡礼スポット。

2026年夏公開の劇場版『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』。原作「島編」と日本に古くから伝わる八百比丘尼伝説との共通点を読み解きながら、愛知・福井のゆかりの地と、作中に登場する名古屋メシをめぐります。
島へは、愛知県西尾市の一色港から西尾市営渡船の高速船「はまかぜ」「第三さちかぜ」が出ています。一色港から佐久島西港まで約20分、佐久島東港まで約25分。運賃は片道大人830円です。
一色港の最寄りは、名鉄西尾線の西尾駅。駅前から名鉄東部交通バスの一色線に乗り、一色さかな広場・佐久島行船のりばまで約27分です。名古屋からは名鉄で西尾駅まで1時間ほどなので、名古屋発の日帰り旅行でも十分に往復できる距離。島内に車は持ち込めず、移動は徒歩か、東港・西港の周辺で借りられるレンタサイクルが中心になります。
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黒く塗られた家々が並ぶ集落、海を望む畑にぽつんと立つアート、そして三河湾の海の幸。佐久島は、観光地として整いすぎていない素朴さと、アートの遊び心が同居する島です。半日でも一周できますが、丸一日かけて自転車でのんびり回るのがちょうどいい大きさ。歩いていると、家の壁に置かれた小さな作品や畑に転がる球体に、思わず立ち止まる瞬間が何度もやってきます。

西地区の家々は、コールタールを塗った真っ黒な板壁が特徴です。塩を多く含む潮風から木造の建物を守るための、昔ながらの工夫。色が剥げてくると塗り直しが必要ですが、人口の少ない島で維持していくのは容易ではありません。
2003年からは島外のボランティアも参加する黒壁の塗り替え活動が続いていて、夏に黒い壁を塗っていく人たちの姿は、いまや島の風物詩のひとつです。夕方になると黒い板壁が西陽を吸い込んで艶を帯び、家々の影が砂利道に長く伸びていきます。

Ohirune Houne (Nap House)
佐久島がアートの島と呼ばれるようになったのは、1990年代後半のこと。「祭り島・佐久島活性化計画」をきっかけに、「三河・佐久島アートプラン21」や「佐久島アートピクニック」といった企画が続きました。海岸や畑、空き家の脇に置かれたアート作品はおよそ20か所。

代表作は、石垣海岸に立つ南川祐輝の「おひるねハウス」です。9つに仕切られた黒い箱で、はしごを登って中に入ると、海と空を切り取る額縁の内側に自分が収まります。東港の桟橋にも同じ作家による全長約60メートルの「イーストハウス」があり、船から降りた瞬間にアートが目に飛び込んでくる島です。

西地区の正念寺の境内に置かれているのが、彫刻家・松岡徹による「海神さま」です。釣りの神様として作られたアート作品ですが、お賽銭をあげていく人があとを絶ちません。この黄色くまるっこいシルエットが、人気漫画『ちいかわ』の島編に登場する屋台の主「島二郎」に似ているとSNSで話題になったのは、2023年後半のこと。
劇場版『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』の2026年夏公開を控え、ファンのあいだであらためて注目を集めるようになりました。あくまで偶然の共通点ですが、見比べながら歩くと、漫画と現実の風景がふっと重なる感覚が味わえます。「分身」と呼ばれる小さな像が佐久島のお庭や西渡船場駐車場にも立っていて、島を巡るうちに何度か顔を合わせる存在です。

三河湾は古くから豊かな漁場で、佐久島でも漁業はいまも島の暮らしを支える営みです。島の名物といえば大あさり。正式名称をウチムラサキといい、一般のあさりよりひと回り大きな貝です。

あさり丼
島内の食事処では、焼き大あさりや、フライを玉子でとじた大あさり丼が定番。貝柱の歯ごたえと身のふっくらした旨み、磯の香りがそれぞれに違う表情で口の中に広がります。歩き回ったあと、海風の届く食事処で大あさりを頬張る時間は、佐久島ならではの楽しみ方になるはずです。
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