聖地巡礼とは?日本のオタク用語を解説

Sana Yoshida

近年、アニメや漫画、ゲーム、ドラマなどの舞台となった場所などをファンが訪問することを「聖地巡礼」と呼んでおり、日本における推し活、海外旅行客のアニメツーリズムの一環として楽しまれています。
この記事では、日本国内におけるオタク用語としての「聖地」および「聖地巡礼」について詳しく解説していきます。
"聖地巡礼 (Seichi Junrei)"とは?
「聖地巡礼」は英語に直訳すると「Pilgrimage」が該当します。
- 聖地 (Seichi) = 聖なる地
- 巡礼 (Junrei) = 巡礼
かなりカジュアルではありますが、ある意味で宗教的な意図を持って使われていると捉えて問題ありません。日本のオタクたちにとっての、「聖地」を「巡礼」するという文脈で使われます。
誤解を恐れずに表現するのであれば、アニメ作品や憧れの人物は彼らにとっての「第二の宗教」に当たるのかもしれません。
オタク文化における聖地の定義

Sekizenkan in Shima Onsen, which served as the model for the ryokan (inn) appearing in Spirited Away / Photo AC
冒頭でも挙げた通り「聖地」とは「アニメや漫画、ゲーム、小説、ドラマ、映画などにおいて、物語の舞台となった場所」つまり、英語で言う"Anime Real Life Location"を指すことが多いでしょう。
ただし、それだけではなく広義では「作品や関係者と関わりの深い場所」も聖地として扱われることがあります。例えば、以下のような場所が当てはまります。
- 作家やアーティストの地元や家、ゆかりの地
- キャラクターや作品名、作中に登場する場所と同じ名前、元ネタとなった土地や駅、お店
- アイドルや俳優、お笑い芸人がテレビ番組や雑誌などの撮影で訪れた場所
- 戦国武将が過ごしたお城や家、その跡地
……など、ファンにとっての「聖地」とされる場所は多岐に渡ります。
「聖地」となることでその場所が観光地となり、地域の盛り上がりにつながることから、積極的にコラボを行う自治体・地元企業も増えてきました。
実際に、アニメの舞台となったことで観光客が激増した地方自治体や施設、アイドルが紹介したことで注文が殺到した伝統工芸品などもあり、大きな注目を集めています。
「聖地巡礼」という言葉の由来
上記で挙げたように、オタクたちの「好きな作品」に関わりの深い場所を「聖地」として、"実際にそこを訪れる"ことを「聖地巡礼」と表現したのが始まりです。
本来の言葉の意味としては"宗教的に重要な場所(聖地)を巡ること"であり、各宗教に巡礼地があります。世界的に有名なものは、「ベツレヘム」や「エルサレム」、「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」、「メッカ」、「セドナ」などが挙げられるでしょう。日本でいえば、「四国四十八箇所巡り」や「お伊勢参り」、「富士山への巡礼」などがあります。
海外には、このような表現をすることに抵抗のある、敬虔な宗教家の方も多くいることでしょう。多神教かつ比較的柔軟な思想を持つ「神道」が根付いた日本だからこそ広まった言葉と言えるかもしれません。
「聖地巡礼」の楽しみ方
作中に登場した場所やゆかりの地を訪問するだけではなく、同じ構図・ポーズで写真を撮ったり、キャラクターのアクリルスタンドキーホルダーやぬいぐるみを配置してシーン再現したりするのも楽しみの一つ。
また、飲食店などでキャラクターが座っていた席について同じメニューを頼んだり、キャラクターの好物になっている土地の名産品やお土産を購入したりするファンも。旅行を楽しみながら、「聖地」となった地域に貢献するファンが多くいます。
また、「聖地」に対する敬意を払い、マナーよく訪問することが基本です。「聖地巡礼」の際は、私有地に立ち入らない、地域住民に迷惑をかけないことを徹底しましょう。
有名な「聖地」の例
「聖地」として日本のアニメオタクたちに人気の場所を挙げます。
茨城県大洗町/『ガールズ&パンツァー』

Oarai Isosaki Shrine Torii / PIXTA
写真は『ガールズ&パンツァー』第4話に登場した大洗磯前神社の鳥居と同じもの。
2012年に放送されたアニメですが、10年以上経ってもなお、コラボイベントなどが開催され、大きな盛り上がりを見せています。主人公たちの拠点となる高校の母校として大洗町の施設や店舗、町並みが描かれており、町全体が聖地となっています。
地元飲食店や施設で作品を模した商品やメニュー、プランが提供され、ファンが作品の世界観を実際に体験できることから大人気となりました。地域の方々もアニメファンを好意的に受け入れており、アニメによる町おこしの成功例・モデルケースと言われています。
岐阜県飛騨市/『君の名は。』

Hida Furukawa Station / Photo AC
2016年に公開された新海誠監督によるアニメーション映画『君の名は』では、作中に飛騨市内の施設や風景、ご当地キャラクターなどが登場しました。
これを受けて、自治体や地域住民が協力し、作中で登場するバス停の設置、伝統工芸体験の実施など、聖地巡礼をするファン向けの環境を整備。多くのファンが映画のワンシーンを再現した様子などをSNSで発信し、評判を呼びました。
東京都秋葉原/『STEINS;GATE (シュタインズ・ゲート)』

Radio Kaikan / PIXTA
秋葉原は“オタクの街”として知られており、多くの漫画、アニメやゲーム、小説の舞台になっています
『STEINS;GATE』では「ラジオ会館(写真左)」をはじめとする秋葉原の街中が舞台として描かれています。アニメやゲームのコラボイベントも多く、特に週末になると多くの人でにぎわいます。
作中ではラジオ会館の建物に人工衛星が墜落し大騒ぎに。実際のラジオ会館でも、建て替えが決まった当時、取り壊し前に人工衛星が落下した様子を再現したコラボが話題になりました。
鳥取県/『名探偵コナン』

Tottori Sand Dunes Conan Airport / Photo AC
こちらは作者の出身地であることから「聖地」して扱われている場所です。
鳥取空港の利用促進を目的とした愛称化推進キャンペーンで選ばれたのが、鳥取県出身の青山剛昌先生による国民的漫画『名探偵コナン』の名前を入れた「鳥取砂丘コナン空港」です。
空港内にキャラクターがいるほか、コナンに関連するイベントやグッズ販売、JRとコラボしたミステリーツアーなども行っています。
北海道/『ゴールデンカムイ』

Goryokaku / Photo AC
明治時代の北海道、樺太を舞台にした物語で、北海道中にキャラクターたちが訪れた場所があります。過去には函館や札幌、釧路、網走や稚内、根室など、北海道の主要エリアすべてを巡る総距離1000kmを超えるスタンプラリーが開催されたことも。
作中のキャラクターたちの足取りを追い、レンタカーなどを利用して5日ほどかかるという大掛かりな旅行を楽しむファンも多くいました。
写真は作中でも大きな役割を担った「五稜郭」。北海道は一般旅行先としても非常に人気のエリアです。
オタク文化における聖地巡礼の歴史
起源などは明確ではありませんが、昔からドラマや映画、アニメの舞台となった土地を訪れるファンは一定数いました。
例えば、『シャーロック・ホームズ』のファンがロンドンのベーガー街221Bを訪れたり、『ベルサイユのばら』のファンがヴェルサイユ宮殿を訪問したりと、海外旅行の際に好きな作品の舞台に足を運ぶのは、決して珍しいことではありません。
日本国内における「聖地巡礼」が広まった出来事

国内における「聖地巡礼」は、2000年代に大きな盛り上がりを見せました。
2002年に放送されたアニメ『おねがい☆ティーチャー』で長野県大町市の木崎湖が舞台となったことからファンの間で話題になり、ファンと地元関係者による清掃活動などの美化運動が行われました。
『らき☆すた』が大流行したことによる経済効果

Washinomiya Shrine / Photo AC
2007年には4コマ漫画をアニメ化した『らき☆すた』が大流行し、舞台となった埼玉県の「鷲宮神社(わしのみやじんじゃ)」の参拝客が急増。これを受けて自治体や地元商工会がグッズ製作やイベントなどをけん引し、経済効果を生みました。
アニメを始めとしたサブカルによる地域活性化

こうした状況の中、各自治体が聖地巡礼を行うファンに向けたイベント企画、町おこしなどに取り組むようになります。現在では多くの漫画、アニメ、小説、ゲームで「聖地巡礼」が行われているほか、地方自治体において町おこしのために企画が立ち上がることもあります。
地域活性化と密接に関わっており、全国各地の魅力を再発見するきっかけとしても機能していると言えます。





